事業承継
中小企業経営者にとって、事業承継者難は深刻な経営課題となっています。社長の子供が当然に後を継ぐ時代ではなくなりつつあります。中小企業の事業承継は、親族内への承継と、親族外への承継に分けることができます。
親族内への事業承継
経営者の子供や兄弟等の親族に経営を譲ることで、事業を承継します。この場合、現経営者が会長職で残り、承継者の経営に関与し続けることで、充分経営能力を発揮することを妨げることになります。
身内に対しては、経営者という視点から第三者の能力を判断する時よりも甘くなり、経営者の資質がなくとも、次期経営者に迎え入れてしまうことがあります。
親族外への事業承継
親族外への事業承継には下記の選択肢があります。それぞれのメリットとデメリットを説明します。
◆ M&Aによる事業承継
M&Aには、合併、株式交換、会社分割や事業譲渡などのいくつかの方法があります。M&Aに期待する内容は、シェアの拡大・商圏の拡大・ノウハウやブランド等の獲得、異業種への参入等が挙げられます。
① メリット
・売却先の候補――後継者を親族や社内という範囲にこだわることなく、外部から広く候補者を募ることができます。
・オーナーの利益――廃業や清算の場合は、留保された現預金と資産処分による売却収入が手元に入ってくるだけです。一方、M&Aを行った場合は、株式の売却収入を退職金支給と合わせることで、オーナーのハッピーリタイアメントが実現できます。
・シナジー効果――新事業立ち上げや事業の多角化を効率よく行うことができ、かつ、販路や設備、業務管理等のお互いの経営資源を利用することで、相乗効果が期待でき、市場拡大を図ることができます。
・雇用の継続――継続して雇用されることもメリットである。
・新事業開始費用の節約――新規事業を最初から立ち上げるのと異なり、初期投資コストおよび人材育成等に必要な時間が節約できます。すでに収益が見込めるかどうかが前もって分析できるので、リスクヘッジにもなります。また、許認可が必要な業種では、M&Aを行うことで新たな許認可を取得が不要となることケースもあります。
② デメリット
・不良債権等――買収実行後に簿外負債や不良債権等の問題が発生するリスクがあります。
・企業文化の違い――企業文化や経営理念から、買収側、譲渡側の従業員に摩擦を生む可能性があります。
・売却先の選定――希望する条件の売却先を探すのが困難な場合が考えられます。
◆ 役員等が株式を取得することによる事業承継(MBO)
① メリット
・モチベーション――中小企業の後継者が、経営者一族以外の従業員からも将来の経営者候補の可能性があることは、モチベーションが高い新入社員雇用時の強みであり、社員の士気が高くなり日々の勤務の励みとなります。
・後継者教育の短縮――経営者と経営理念を共有していた役員が経営を引き継ぐために、企業文化や伝統が変わらず、社内の理解が得られやすく、良好なコミュニケーションが保たれます。
・経営からの引退――子供が後継者の場合、会長職としていつまでの経営に関与し、いわゆる「院政」となる傾向が見受けられますが、親族外の後継者の場合は会社から完全に引退する可能性が大きいです。
② デメリット
・連帯保証制度――連帯保証制度は後継者にとっては、足かせとなる大きな負担となります。
・金融機関や取引先との関係――間接金融は中小企業の資金調達に大きなウェイトを占めているので、事業承継後も取引は継続することを説明することとなります。
・株式等取得資金――経営者等からの株式買取資金の手当は、後継者の自己資金や役員報酬の増額、あるいは事業の将来性を評価して金融機関からの融資、またファンドからの出資が考えられます。
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